千原しのぶ特集

時代劇女優の人気投票で、依然トップをきる東映スタア千原しのぶさんのあれこれを今月は特集としておくります−

やあ!はじめまして

市川雷蔵 千原しのぶ

片や東映のドル箱女優千原しのぶさんと片や大映時代劇の秘蔵っ子市川雷蔵さんが、はじめて誌上で顔合わせ、さてどんな話が出るでしょう。

雷蔵 今晩は。

千原 はじめまして・・・

雷蔵 あれッ?このまえ『二十の扉』のとき、ちょっとお逢いしましたね。

千原 でも、あのときはとうとうろくに御挨拶もできなくて・・・

雷蔵 失礼ヲバ致シマシタ。(笑)ぼくは、この間も明星の座談会で、千代之介さんとはじめてお話したんだ。案外ぼくたち、お逢いしてないもんやね。

千原 映画では、すっかりお馴染みなんですけど・・・

雷蔵 スクリーンでいえば、今日は珍らしいね、千原さんの洋服姿・・・

千原 今、『狸小路の花嫁』って現代ものに出てますがバーのマダムの役なの。それで今日は、洋服。

雷蔵 へーえ、いつも可愛い娘役ばかり見てるけど。

千原 ところが、あたしほんとは、大変なお転婆なのよ。(笑)

雷蔵 おみそれしました。(笑)

千原 負けず嫌いってのかしらね。子役の頃から男の子に負けなかったワ。

雷蔵 ぼくは、逆に、女の子とばかり遊んでた。(笑)今はダンゼン強くなったけど・・・(笑)

千原 清盛さんですもの。(笑)だけど、子供の時分て懐かしいわね。この間も、ロケで久しぶりに岡山へ行ってきたの。生れ故郷の津山とは、目と鼻の先でしょ。とても嬉しかったわ。

雷蔵 ぼくは京都で生まれて終戦まで大阪で育ったから大阪が故郷みたいなもんや。

千原 私は津山が生れ故郷ってことになってますが、母が私を生むためにくにへ帰ってので言わば産ぶ声をあげただけみたいなの。(笑)

雷蔵 ぼくがはじめてオギャアと言ったのは、(笑)西木屋町(京都祇園の近く)

千原 イキなところね。私は、産ぶ声をあげて以来、金沢、敦賀、松本と、主に田舎廻りばかり。(笑)そして女学校をもう一度津山で送ったの。

雷蔵 ぼくは西木屋町のプルニエって洋食屋へよく行くんだけど、その店の向いの散髪屋をみて、ぼくの生れた家がそのプルニエか、もしくは隣りの家に当るってことが分ってね・・・それからは、洋食はプルニエばっかり・・・(笑)

千原 やっぱり生れ故郷はいいわね。ふるさとの山に向って言うことなし、ふるさとの山はありがたきかなってね。

雷蔵 なかなか千原さんロマンティックやね。ぼくなら−ふるさとの家のあたりの洋食はうまいかな・・・てなもんや。(爆笑)