1958年11月8日(土)公開/1時間29分大映京都/白黒シネマスコープ

併映画:『娘の冒険』(島耕二/京マチ子・若尾文子)

製作 酒井箴
企画 浅井昭三郎
監督 加戸敏
脚本 松村正温
撮影 武田千吉郎
美術 太田誠一
照明 岡本健一
録音 大角正夫
音楽 鈴木静一
助監督 遠藤力雄
スチール 藤岡輝夫
出演 八千草薫(鶴姫)、中村玉緒(おみね)、大和七海路(千波)、阿井美千子(蔦葉)、島田竜三(芝田敬四郎)、潮万太郎(与平次)、和泉千太郎(若林伊織)、小堀明男(林主水)、本郷秀雄(安藤采女)、小川虎之助(小田切但馬守)、荒木忍(大和屋弥七)、羅門光三郎(室井久馬)、香川良介(安藤将監)、上田寛(佐吉)、葛木香一(松平信濃守)
惹句 『若殿から足軽になった雷蔵が、斬って、惚れます、笑わせます』『剣も笑いもタップリもりこんだ雷蔵ならではの明朗新時代劇』『若様剣法で斬って惚れます笑わせます』『足軽姿で笑わせて、若様剣法で斬りまくる、雷蔵の明朗新時代劇』『一国一城の若殿が身分をかくして、花のお江戸で剣と恋の武者修行

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★ 作品解説 ★

 大映自慢の明朗時代劇も益々快調で、好評の『女狐風呂』に続いて久方ぶりに、市川雷蔵十八番の若様もので、雷蔵の魅力を十二分に満喫して頂こうと云うのが、此の『濡れ髪剣法』です。お追従ばかりの若殿生活に愛想を尽かし、お城を飛出して自分の江戸屋敷へ足軽奉公し、お家乗取りの陰謀を斬ると云う奇想天外の物語を、東宝八千草薫との魅力ある初顔合せで、加戸敏監督が『鬼火燈籠』に次いで好調のメガホンをとっています。雷蔵ファンの80%を占める女性ファン絶対の魅力大作です。製作は酒井箴、企画浅井昭三郎、脚本は新鋭松村正温、撮影は流麗武田千吉郎で、前記雷蔵、八千草の初顔合せに中村玉緒、阿井美千子、大和七海路、島田竜三、小堀明男、和泉千太郎、潮万太郎、本郷秀雄らが多彩な競演を繰りひろげます。

 市川雷蔵の若様もので、『人肌孔雀』の松村正温の脚本を『鬼火灯篭』の加戸敏が監督した明朗時代劇。撮影は『東海道の野郎ども』の武田千吉郎。『日蓮と蒙古大襲来』の雷蔵、『喧嘩太平記』の八千草薫をはじめ、中村玉緒・阿井美千子・島田竜三などが出演。

 青草に坐して雷蔵さん(源之助)と八千草さん(鶴姫)のラブシーン

 どんなもンです。獲物のノウサギニ匹をさげてニコニコ顔の雷蔵さん

 

 

 台風のあいまをぬって近江今津(滋賀県)へ出かけた『濡れ髪剣法』のロケは絶好の快晴にめぐまれ、雷蔵さんは野がけ、野試合、ラブシーンと大活躍。初コンビの八千草薫さんとの呼吸もぴったりあって、雷蔵さんのヒョーイツな若様と八千草さんのジャジャ馬姫君ぶりがたのしいふんい気をかもしだし、ピーカンロケにふさわしい撮影風景でした。雷蔵さんは乗馬には自信たっぷりなので、ゴキゲンな一日でした。

 

 

    

 『日蓮と蒙古大襲来』で北条時宗をやった大映の市川雷蔵は、久しぶりで十八番の若様もの『濡れ髪剣法』(加戸敏監督)に出演、魚が水を得たように、のびのびと演技をやっている。

 大映はさきに、山本富士子の変化もの『人肌孔雀』でヒットさせたが、こんどは山本から雷蔵に代って若様、町人、若党、殺し屋の四変化を見せる作戦に出た。お追従ばかりの若殿生活にあきあきした雷蔵の若殿様が、城を飛出して自分の江戸屋敷へ足軽奉公し、お家乗取りの陰謀を斬るという明朗時代である。

 雷蔵に配するお姫さまは、今春封切った『銭形平次捕物控 八人の花嫁』で大映初出演した東宝の八千草薫で、雷蔵とは初顔合せである。両者顔を合わせて、初めて八千草が雷蔵の隠れたファンであることがわかった。

 「何ていいますか、モノにこだわらない、おおようなタイプが好きなんです」と百年の知己のようにいう八千草の言葉に雷蔵は、『炎上』の時のドモリの学生のようにどもってしまい

 「キョ、キョーシュクです」をくり返すばかり・・・。

 改めて若衆もの十本目の感想をきくと、

 「三十年の『次男坊鴉』が初めての若様ものだったのですが、最近は非常にバラエティーに富む作品が多くなって、『桃太郎侍』以来一年半ぶりということになります。こんどは四役をそれぞれ演じ分けなければならないので、むずかしい。しかし馴れた役柄なので、仕事はたのしいんですよ」といっていた。 (日スポ東京 09/18/58)

 

(映画ファン58年11月号より)

 お家の乗取りをたくらむ悪家老・安藤将監の一味がヒタヒタと若君・源之助にせまる
「たアッ!」一瞬、源之助の手練の太刀がひらめく・・・
 大映スコープ『濡れ髪剣法』の胸のすくような雷蔵さんの殺陣です。

(別冊平凡58年10月号より)

 

★ 梗 概 ★

 遠州佐伯藩松平家の若殿源之助は剣をとっては家中第一とうぬぼれていた。が、許婚の隣藩小田切家の息女・鶴姫の前で、その近習・林主水にさんざんイタめつけられた。彼は自分の本当の力をためそうと、お城を飛びだし、江戸へ向う。

 若殿生活しか知らぬ源之助は人々にキ印のようにしか見えぬ。駿府はずれの茶店で、パクついた団子の代金を請求されると「お城へ参って受けとれ」オウヨウなものである。居合わせた江戸の芸者・蔦葉が助けてくれると、彼は印籠を与え、再会を約した。彼が馬子に応対しているのを見て、面白い奴と彼を拾ったのは、江戸の口入れ稼業・大和屋弥七である。弥七の娘・おみねは彼に好意を抱く。

 佐伯藩では、次席家老・芝田が息子の敬四郎に若殿のあとを追わせ、顔中ホータイだらけの身代りをつくり、ホウソウで寝こんだことにして、鶴姫たちの目をゴマかした。

 江戸家老・安藤は若殿重態の知らせに喜んだ。彼は江戸藩邸で病床にある老君がなくなれば、息子の采女に跡目をつがせ、鶴姫と祝言をあげさせて、お家乗っとりをたくらんでいるのだ。

 源之助は、弥七のもとで、道楽の剣と捨身の剣法との違いを会得した。ちょうど安藤の供人足にやとわれ、行列をさえぎる悪旗本をやっつけ、何も知らぬ安藤に、若党として召しかかえられた。仲間の与平次から安藤の家中での勢力とその陰謀を知らされる。

 鶴姫が江戸へ現れ、縁談を断りに藩邸へやってきた。源之助が主水の相手を命ぜられ、今度は彼が勝ち、士分に取立てられた。安藤は敬四郎を待ち伏せて捕えることを部下に命じた。源之助は白頭巾をかぶって彼を救った。おみよが彼らの話を立聞き、助力を申し出、安藤邸に腰元として住み込んだ。

 源之助は安藤の使者として小田切但馬守に鶴姫を采女の妻にと申しいれた。源之助は鶴姫の助力で最後までトボけ通した。おみねは采女の口ぶりから病気の老君の薬に、安藤の細工があると気づいた。源之助は父に手紙し、発狂を装わせた。安藤は老君を釣天井つきの離れに閉じこめた。

 祝宴に、芸者・蔦葉が現れた。源之助に印籠を返すつもりだ。印籠の紋を見て、安藤はすべてをさとった。源之助が父を離れから救い出そうとしたとき、安藤たちが襲ってきた。源之助は父を外に突きやったが、自分は密室に閉ざされた-。

 鶴姫が邸を訪ねて来た。が、駕から降り立ったのは、源之助だった。彼は主水や敬四郎と力を合せて、襲いかかる安藤勢を倒し、父やおみねを救った。但馬守も姫を連れて駈けつけた。「骨折り損のくたびれ儲け・・・・これで、やっともともとか」源之助の独り言に、人々はどっと笑った。(「キネマ旬報」より)

詳細はシリーズ映画、その他のシリーズの『濡れ髪シリーズ』参照

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