1969年1月11日(土)公開/1時間21分大映京都/カラーシネマスコープ

併映:「失神」(弓削太郎/南美川洋子・渥美マリ)

企画 財前定生
監督 池広一夫
原作 柴田錬三郎
脚本 高岩肇・宮川一郎
撮影 武田千吉郎
美術 下石坂成典
照明 山下礼二郎
録音 大谷巌
音楽 渡辺岳夫
助監督 遠藤力雄
スチール 藤岡輝夫
出演 藤村志保(小夜)、久保菜穂子(錦小路)、松尾嘉代(お千加)、朝丘雪路(お菊)、吉田日出子(茜)、江原真二郎(川口周馬)、小池朝雄(板倉将監)、長谷川待子(幾野)、宇田あつみ(志乃)、毛利郁子(女面の女A)、橘公子(滝山)、伊達岳志(おらんだ屋惣兵衛)、杉山昌三九(神尾清十郎)
惹句 『女体が襲うくの一が迫る柔肌地獄の狂四郎を狙うもう一つの円月殺法正邪二つの剣光が同時に宙に孤を描く』『不義、私刑、同性愛・・・・情欲渦巻く“大奥に”円月殺法只今推参』『囮よし罠も承知女が女を狩る情痴の大奥に、七たびきらめく円月剣

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■ 解 説 ■

 大映京都の正月公開作品「眠狂四郎悪女狩り」(監督池広一夫)が撮影を開始した。病気療養中だった市川雷蔵が健康を回復して、颯爽と得意の狂四郎に扮し、江戸城大奥の権力争いと愛欲に乱れる悪女たちに、円月殺法を冷たく斬りおろして、久しぶりに胸のすく活躍ぶりをみせる。 

 出演者は、初めて狂四郎ガールズに加わる朝丘雪路、松尾嘉代のほか、久保菜穂子、長谷川待子アングラ演劇の若手新人として頭角を現わしている吉田日出子、そして休養も充分な藤村志保が、ぐっと女の魅力を増して大奥姿を見せる。狂四郎と剣を競う浪人には江原真二郎が大映初出演するなど、豪華に製作される。  不義、密通、同性愛、堕胎などハレンチな情欲が渦巻く大奥へ、狂四郎が初めて推参、夢想正宗の剣光が円月を描いて陰謀を斬る。   

■ 物 語 ■

 江戸城大奥は、将軍の子を身ごもった二人の女、側室の環とお千加の方をめぐって、権力と愛欲が、みにくく争い合っていた。大奥総取締の錦小路は、大目付の板倉将監と組んで、おらんだ屋惣兵衛、きりしたん一味の川口周馬らを使い、自分たちに敵する幕府要職の人材を次ぎ次ぎと暗殺し、お千加の方一派の女たちを犯して殺した。 

 だが、江戸市中では、眠狂四郎はその名の通り、血と女に狂ったと噂していた。大奥に発した悪事は、すべて狂四郎がやったこととして、汚名をきせられていた。狂四郎は、それを知ってか知らでか、何の変ったそぶりも見せず、出会い茶屋の二階で、女将のお菊と情事を楽しんでいた。 

 ある日、狂四郎は突然数人のお庭番に襲われた。帰途、墓参にやってきた大奥の女、小夜に兄と見違がわれ、声をかけた。立ちはだかって理由を聞きたいと迫ったが、くの一の茜の仕掛けた爆薬が破裂して、逃がしてしまった。狂四郎が動き出したと察した錦小路や板倉将監たちは、事を早急に進めねばならなかった。川口周馬は面をつけた。狂四郎によく似た冷たい顔の仮面であった。小夜は、兄周馬に、これ以上デウスの戒律を犯して人を殺し、狂四郎に悪名をおしつける事はやめてくれと哀願するのだった。

 篠つく雨の日、狂四郎と周馬は、初めて会った。傘で顔は見えなかったが、いつかは勝負をせねばならぬ運命の二人だった。錦小路の魔手は、お千加を堕胎しようと薬を飲ませて中条流の老婆のもとへ送り込んだが、狂四郎にはばまれた。怒った錦小路は、伊賀者を使って狂四郎を誘い出し、煙幕にむせんで昏倒すると長持ちに入れて、大奥へ連れ込んだ。手足を縛った狂四郎を、錦小路は欲情にもえる身体をすりよせ、なぶり殺しにすると、のしかかった。狂四郎の身体が開いて錦小路をはねあげた。懐剣をふりかざす錦小路をかわし、そのたびに手足の縄を切らせた。ぎょっとして起き上がる錦小路の股間に、狂四郎が投げる懐剣がプツリと突っ立った。その時小夜が入って来て狂四郎に刀を渡した。兄の罪の償いだと言った。小夜は錦小路の部屋子だった。狂四郎は大奥を抜け出した。 

 きりしたん達が、おらんだ屋の船でルソン島に脱出する日、板倉将監の手がまわって、役人たちが発砲した。小夜は死んだ。狂四郎はその手にクルスを握らせた。川口周馬と狂四郎が向き合った。狂四郎は静かに下段に構えた。二人が同時に円月の剣を描き始めた。(公開当時のプレスシートより)

 

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 歴史読本1994年11月特別増刊号[スペシャル48]RAIZO 『眠狂四郎』の世界に詳しい。また、シリーズ映画「眠狂四郎シリーズ」参照。

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