本誌前号で、市川雷蔵の“花嫁の最有力候補”T・K子さんの横顔を紹介した。

 だが、この人の名をイニシャルで呼ぶ必要は、もうなくなった。その直後、前々からの雷蔵のプロポーズが受諾され、二人は晴れて婚約者の間柄になったからだ。では、その人、遠田恭子さんを、改めてご紹介しよう。

結婚式は3月27日

 12月28日には、仲人の藤山勝彦氏(大日本製糖社長、大映社外重役)の家で、雷蔵の養父の市川寿海と、恭子さんの父代りの永田雅一氏とが、結納をとりかわした。

 結婚式は、この3月27日、赤坂のホテル・ニュージャパンで挙行される。新婚旅行の行先は、アメリカになるはずだ。雷蔵は五、六年先には、俳優からプロデューサーに転向するつもりらしい。だから、この新婚旅行は、将来のプロデューサー業のための見学旅行にもなるはずだ。転向が実現したあかつきには、同時に恭子さんも、いやがっていた俳優の妻から実業家の妻へ転向することになる。

 恭子さんは、小学校時代から外人について英語を勉強しているし、大学一年の夏休みには、アメリカ旅行をも経験している。新婚旅行兼見学旅行の間、恭子さんは雷蔵のために、よき通訳の役も勤めるだろう。

 新居は、現在の鳴滝の雷蔵邸の裏に新築中だ。これがことしいっぱいかかるので、当分は今の家で暮らすことになる。雷蔵邸は、カメラマンが絵にならないと嘆くほど“殺風景”だった。だが、恭子さんを迎え、京都でも最高の“絵になる”家のひとつになるだろう。

突然に驚く友人たち

 さて、友人たちの“おめでとう”を特集する番だが、深く静かに潜行していた潜水艦が、突如として浮上したような婚約ぶりにいずれもおどろきあわてて、とっさに“おめでとう”出てこないといううわさだ。

 

大川橋蔵 
「おどろいたな。雷ちゃんとは歌舞伎当時からの友人で、ともに独身できたのに、錦ちゃんにつづいたわけだね。うらやましいね。いや、心からおめでとう」

勝新太郎
「ぜんぜん知らなかった。つい最近までセットがいっしょだったんだが、気配もなかったなァ。結婚しても、奥さんがしあわせであることを誰にもさとられないような、奥さんだけが自分のしあわせを知ってるような、そんな家庭をきずくんじゃないかな。雷ちゃんとオレが玉緒ちゃんを取りあっこしたなんて、デマをとばしたやつがいるが、これでわかったろう。ザマミロってんだ。オッと、忘れてた。雷ちゃん、おめでとう。」
 
中村玉緒
「ヘェー、ソーオ。雷蔵さんらしいわね。勝さんとちがうところがおもしろいわ。とにかく、心からお祝い申し上げます」
 
大鵬
「ニュースを知ったとき、ハハア、あの人だなと、ピンときました。お会いしたことはないが、女子大にいる人ということは、何となく知ってたんです。雷蔵さんにはふだん何かとおせわになってるけど、実にりっぱな人で、尊敬しています。場所中でなければ、ぜひ結婚式にも参列させて頂きたいと思います。おめでとうございます」
 
  川合莉恵
「いつか、日本女子大附属高校の集まりで、もう結婚した人や婚約中の人や、ボーイフレンド持ってる人たちが、キャーキャーいってるのに、私と恭子さんだけはフリーだったんです。くやしいわねェ、っていったら、恭子ちゃんが“今に見ていろ、ボクだって”っていいました。よかったわね、恭子ちゃん。雷蔵さんなら。雷蔵さんといえば、初めから私も賛成したのに・・・」
 
橋幸夫
「知らなかった。ぜんぜん教えてくれないんだもん、ひでェや。黙ってチャクチャクやってたんですね。やっぱり、たいしたもんですね。ぼくもおヨメさんもらうときは、雷蔵流でいこう。おめでとうございます」