市川雷蔵が初めて女装

伊藤監督の『弁天小僧』

 一年半振りの伊藤大輔監督のメガホンによる大映スコープ総天然色『弁天小僧』は『炎上』完成後、新しい芸域に人気上昇の市川雷蔵の初の女装をはじめ、初顔合せの東宝青山京子、阿井美千子、近藤美恵子、勝新太郎、島田竜三らにぎやかな顔ぶれでクランク・インした。

 伊藤監督も、昨年のビスタビジョン『地獄花』以来の久々の仕事だけに、文句なしに面白い時代劇にしたいと大ハリキリ。黙阿弥の原作を離れて、自由に創作された新しい江戸のグレン隊の弁天小僧として登場するわけだが、有名な浜松屋のユスリの場で取入れられ“知らざァいって聞かせやしょう”の名セリフと共に、片ハダぬいでクリカラモンモン菊の彫物を見せるが、この水もしたたる雷蔵初の女装が大きな話題の一つ。

 雷蔵は「伊藤先生に、今度はじめて指導してもらいます。先生から時代劇のもっている本当のダイゴ味というか、面白さというものを教わりたい・・・」と抱負を語っている。

(ファンお手製の切抜帖から)