盛夏もようやく峠をこして、待望の映画シーズンはあと余すところ旬日に迫った。好調の一途を辿る大映では、最高のスタッフ・キャストを揃えて、九月には『此村大吉』『赤穂義士』の時代劇、『君待船』、大映カラー・総天然色映画『月よりの使者』の現代劇、計四本を公開すべく東西撮影所で鋭意製作中であるが、十月には第一面で紹介したように五本の娯楽大作を決定して準備がすすめられおり、その中でも『月よりの使者』と並んで大映が下半期に放つ、総天然色映画『千姫』は全配役も決まり、いよいよクランクを開始した。いま東西スタジオで猛撮影中の五大作からいろいろ話題を拾ってみよう。

 

 大映が、その全機能をあげて製作する、大映カラー総天然色映画『千姫』(木村恵吾監督)は京マチ子、菅原謙二、大河内伝次郎、三田隆、東山千栄子、市川雷蔵はじめ豪華絢爛の顔合せで、この程「千姫の部屋」の場面より、堂々の撮影を開始した。

 天然色映画といえば、暑い暑いがきまりきった裏話だが、大映京都だけは、完全冷房の第四、第五、第六の三ステージを、この天然色撮影の為にフルに使用し、冷房装置も最高の威力を発揮しているので、ステージ内は、暑いどころか全く寒いくらいである。

 此の朝、二条城その他にロケーションした京、菅原のテストフィルムの試写もあったが、正に『地獄門』を凌ぐ絢爛さで、全世界に色彩映画の革命を起させた大映技術陣の真価を世に問う大作として、早くも各方面の注目の的となっている。なお、スタッフ・キャストは次のとおりである。

スタッフ

 製作(永田雅一)、企画(辻久一)、脚本(八尋不二)、撮影(杉山公平)、美術(伊藤熹朔)、音楽(早坂文雄)、録音(大角正夫)、照明(岡本健一)、時代考証(甲斐荘楠音)

キャスト

 千姫(京マチ子)、淀君(東山千栄子)、徳川家康(大河内伝次郎)、豊臣秀頼(市川雷蔵)、本多佐渡守正信(進藤英太郎)、その娘おちょぼ、後に松坂の局(峰幸子)、坂崎出羽守(山形勲)、その家来湯浅新六、後に竹中新八郎(菅原謙二)、大久保彦左衛門(南部彰三)、旗本坂部三十郎(光岡竜三郎)、柳生又右衛門(石黒達也)、坂崎勘兵衛(荒木忍)、森善九郎(杉山昌三九)、本多平八郎(三田隆)、徳川秀忠(石井寛)、松坂の恋人松井主税(花柳武始)、腰元紅梅(小町瑠美子)、旗本水野弥八(原聖四郎)、同林権之助(千葉登四男)、捕手頭香川仁兵衛(尾上栄五郎)、小姓萩原万弥(天野一郎)、同亀井新之丞(南条新太郎)、旗本(水原洋一)

 

 

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