九月も半ばを過ぎると秋は駆足でやってくるが、本社の人気投票も秋のおとずれとともに次第に活気を取りもどしてきた。

 

        

ひばり いぜん独走

競り合う歌手上位陣

 女性歌手の美空ひばりは、九千二百九十八票と一万票にわずかに七百票余りを残すのみとなり、二位江利チエミを四千三十票と大きく引き離して、いよいよ独走の態勢を整えてきた。また三位の島倉千代子は、七、八、九月と徐々にではあるが、二位江利チエミに追っており、早くも波乱を呼ぶ雲行を示している。さらに四位雪村いずみは松山恵子の予想外の得票に四位の座を脅かされつつあり、十一月を待たずに島倉と江利が、松山と雪村が、それぞれ入れ代ることも考えられる。

 一方、さきに男性歌手No1として本社から表彰を受けた小畑実は、「雨のとまり船」「八条船唄」などの最近曲がさえないせいもあって、二位春日八郎に五百四十三票と迫られ、三位三橋美智也も意外に得票数が少なく、その後伸びないのは彼の人気がファンの中にも一つはっきりした根を下していない証左と見受けられる。

 男優では森繁久彌、鶴田浩二がともに千二票で十一位に肩を並べているのでベスト・テンへの進出にいずれが先を越すか興味深いものがある。また三船敏郎とわずか一票の差で十三位にある伏見扇太郎はファン層が千代之介、錦之助にくらべてさらに低い小、中学生なので、こういった人気投票では大分損をしているが、同じ時代劇若手スター東宮秀樹、勝新太郎らを抑えてガン張っているのは頼もしい。

 なお、本社の人気投票は引続き実施中で、九月一日より十月末までの全投票者の中から抽選のうえ当選者に賞品を贈呈いたしますから左記規定により奮ってご応募下さい。

デイリースポーツ 56年9月22日

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