今月末に行われる第二次の当選発表をちょうど一カ月後にひかえて、ファンからの投票はますますその数を増し、一日現在の総得票数は一万二千六百九十四票と、ついに一万票を突破したが、人気投票のはがきから知り得る注目すべき点をあげてみると

  

多い共演スターの票

錦之助 雷蔵 十代ファンの圧倒的人気

 映画俳優では、男優に長谷川一夫を選んでいるファンはかならず女優には山本富士子、また東千代之介や中村錦之助に投票しているファンは、女優に千原しのぶ、高千穂ひづるといったように、共演するスターコンビが同じように選ばれているのが特色。また、投票者の年齢と選ばれたスターの関係をみると、十代の人は中村錦之助、市川雷蔵、大川橋蔵といったほとんど自分たちと年の違わない若い俳優、それも絶対的に時代劇のスターを支持していることが目立つ。

 また男性に人気のある男優、女性に人気のある女優という点からスターを分析すると、女性に人気のある男優は言い合したように男性ファンが少なく、また逆に男性に人気のある女優はあまり女性からは支持されていないといった傾向を持っている。例えば、男優では鶴田浩二、佐田啓二、女優では有馬稲子、若尾文子らは多少その気配が感じられる。

 中年から老年の人は、ティーン・エイジャーとは違って演技賞候補のいわゆる渋い俳優を支持しているが、それにしても二枚目と呼ばれるスターが、どの人気投票をみても圧倒的に強味を発揮、脇役・三枚目としてうま味をみせているスターが姿をみせないのは当然のこととはいえ、いささか物足りなさを感じさせる。

 俳優と違って流行歌手では、ほとんどの個人々々の実力によって人気も左右され、全般的な傾向としてはマイク一本で活躍している歌手より、映画、テレビなどで顔の売れた歌手の方が強味を持っている。ただちょっと意外な感じを受けるのは、ジャズ・シンガーが振わないことで、映画スターが比較的安定した人気を持続するのと異なって、歌手の方は一曲々々の出来、不出来がテキメンに人気のうえに現われ、それがその日の投票数にはっきり現われている。群を抜いた美空ひばりの人気などは例外の部類に入るのではないだろうか。

デイリースポーツ 56年4月2日

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